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ハノーファー歌劇場【フィデリオ】

2010. . 09
Staatsoper Hannover
L.v.Beethoven “FIDELIO”

2009.12.19 19:30

Leonore・・・・・・・・・・Brigitte Hahn
Florestan・・・・・・・・・Peter Seiffert
Don Pizarro・・・・・・・・Thomas Jesatko
Rocco・・・・・・・・・・・Matti Salminen
Marzelline・・・・・・・・・Dorothea Maria Marx
Jaquino・・・・・・・・・・Ivan Turšić
Don Fernando・・・・・・・・Tobias Schabel

Inszenierung・・・・・・・・Georg Schmiedleintner
Musikalische Leitung・・・・Luts de Veer


1日限りのガラ公演ということで結構プレミアチケットなのかと思ったら、満員というわけではなかった。当日窓口に行って「学生です」と言ったら一階4列目ほぼ中央の席が€16だった。しかも座ってみると両隣は空席。周りは満席なのに。おそらく誰かがキャンセルしたんだろう。

IMG_1420_convert_20100209223124.jpg


ハノーファー歌劇場の外見は厳めしい石造りの立派な建物。町の中央の大きな広場に堂々と建っている。そんな外見とは対照的に内装はモダンでシック。まだ改装して10年経つか経たないかってとこだろう。バーには合唱団員の写真が一人一人飾ってあり、アジア人の団員もちらほらいた。この日、囚人ソロを歌ったのも韓国系の人だった。

劇場内は落ち着いた木目調で、いかにもドイツといった感じ。新国を少し大きくした印象。イタリアの豪華さ、眩さはないけど音響重視に考えられたいい劇場だと思う。まあ1階前方で聴いたから音響についてはあまり分からないが、恐らくいいはず。

さて、この日はザイフェルトとサルミネンがゲストとして出演。この二人が見事だったのは言うまでもないが、その他の座付きの歌手たちもそれぞれ好演だった。ゲスト2人と遜色がないくらいに。

タイトルロールのハーンは力強い声をもったメゾ。最低音がやや苦しそうだったが、高音の張りが見事。緩やかなヴィヴラートの波も心地よい。

ザイフェルトは声量が桁はずれ。ワーグナー歌手だけあってとても太くロブストな声、しかしそれだけでなくリリカルに歌う。まるでプッチーニのように。この役は決してヒロイックな役ではないと思う。(もちろんその要素もあるが)獄中でレオノーラを想って歌う所などは彼ぐらいリリカルに歌ってしかるべきだと思う。素晴らしかった。

ロッコのサルミネンは巨体に杖をついて登場。これは演出上ではなく個人的なものだと思うが、若い所長に圧力をかけられるみじめな老人像ともとれていいと思う。深遠なる低音の世界を味あわせてくれた。しかし、年齢のためか期待していたほどの声量はなかった。期待のかけすぎはいつでも裏切られる。もちろん不足はない。ただ期待しすぎただけ。

ドン・ピツァロのJesatkoはまだ若いと思うが声量も凄味も嫌らしさもなかなか良かった。「あー、こういう嫌な上司居そう」と思わせる。この役は嫌な奴であればある程、結末ですっきりする。つばがいっぱいとんでいるのが見えた。ドイツ語はこうでなくちゃ(笑)

マルツェリーネを歌ったマルクスはまだデビューしたてなんじゃないかと思う。だが安定していて良かった。拍手喝采だった。幕が開いてすぐ、彼女の声を聞いて「これはいい公演になりそうだ」と思った。脇役がいいと嬉しい。

ヤキーノのTuršićもしっかりとした声で音楽的に充分な力を持っていると思うが、今回の演出では彼の演技が光った。この演出ではロッコに引っ張られ、ピツァロに壁に向かって突き飛ばされ、マルツェリーネにビンタされる、体力的にキツそうな役となっていたが、恋心も受け入れられず、階級社会の中で上からの命令を受けるだけの惨めな男を巧く演じていた。

字幕は歌部分も台詞部分もなし。まったくの字幕なしで実演に触れたのは初めての経験。確かにこれだと視覚的に舞台に集中でき、また同時に耳も舞台に向く。どっちにしろあまりドイツ語が分からないが、歌手たちの素晴らしい演技力、歌唱力のおかげでどっぷり舞台にのめりこむことができた。席が近いということもプラスに働いた。

舞台には合唱ではないピツァロの部下の黙役エキストラが20人ほど登場し、パントマイムを繰り広げていた。白塗りに黒いピエロの鼻、そして黒い風船。ピツァロに習って囚人を理不尽に傷めつけ、ピツァロのイスに競って座りたがる。官僚制批判を仄めかすような演出となっていた。オケはドイツらしい重厚な響きを出し、アンサンブルも手堅くソロも好演。特にホルンのソロ、アンサンブルは絶品だった。1か所外したところがあったが、柔らかな音色と爆発寸前の力強い音色を巧く使い分け、外したことは問題にならないぐらい素晴らしかった。

ハノーファーは来日公演もしてないし(恐らく)、ベルリンやミュンヘンに比べたら日本ではあまり話題に上らない劇場だが、このように地元に根付いて手堅く真摯に舞台作りをしている劇場を見るとドイツの文化的な底の深さを改めて感じる。日本の新国のレヴェルも向上しつつあるとはいえ、到底歴史の壁は越えられないと痛感した。日本は日本で新しい面白いこともできるからそれはそれでいいと思うけど。
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