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ブダペスト・ヴィーグ劇場【魔笛】 (ハンガリー語上演)

2010. . 01
Vígszínház
W.A.Mozart “Die Zauberflöte
(A varázsfuvola)”

2010.5.15 Sat 19:00

Sarastro・・・・・・・・・・・・・・・・Rácz István
Tamino・・・・・・・・・・・・・・・・・Nyári Zoltán
The queen of night・・・・・・・Lörincz Judit
Pamina・・・・・・・・・・・・・・・・Hajnóczy Júlia
1st Dame・・・・・・・・・・・・・・・Fodor Beatrix
2nd Dame・・・・・・・・・・・・・・・Simon Krisztina
3rd Dame・・・・・・・・・・・・・・・Gál Erika
Speaker・・・・・・・・・・・・・・・・Miller Lajos
1st Priest・・・・・・・・・・・・・・・Daróczi Tamás
2nd Priest・・・・・・・・・・・・・・・Clementis Tamás
Papageno・・・・・・・・・・・・・・・Nagy Ervin
Papagena・・・・・・・・・・・・・・・Gál Gabriella
Monostatos・・・・・・・・・・・・・・Debreczeny Csaba
1st boy・・・・・・・・・・・・・・・・・John Frost
2nd boy・・・・・・・・・・・・・・・・・Tassonyi Balázs
3rd boy・・・・・・・・・・・・・・・・・・Murányi Levente

Stage Direction・・・・・・・・・・・・Marton László
Conductor・・・・・・・・・・・・・・・・Török Gèza


大学の期末試験が終わりかけているので、最近みたオペラの感想をぼちぼち載せます。まずは5月半ばにハンガリー、ブダペストのオペラを観てきた時のことを書かせていただきます。天候が滞在中3日間とも暴風雨という最悪な状況だったのでほぼ観光は不可能でしたが、国立オペラの豪華な劇場でオペラを鑑賞出来ただけでもよしとします。内容はさておき建物はすごい豪華(笑)。

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1日目は国立オペラ劇場ではなく、ヴィーグ劇場という別の劇場で行われたハンガリー語版「魔笛」を鑑賞しました。チケットは国立オペラのボックスオフィスで購入できたので、同じ団体の公演なのだと思う。ちなみにこの日、同時刻に国立オペラでは「セヴィリアの理髪師」を上演していました。「ハンガリアン魔笛」か「セヴィリア」(こっちは原語のイタリア語)、どっちか迷った結果「魔笛」にしました。まぁ言葉はわからないけどせっかくハンガリーに来たんだし、他では見られないものを、ってことで。

劇場は街の中心からは少し離れたとこにあり、オペレッタでも上演しそうな可愛くてこぢんまりした外観、内装。でもオペレッタ劇場は別にあるから、ここは主にオペラを上演しているよう。ヴェネツィアでいうと国立オペラ劇場がフェニーチェ、ヴィーグがマリブランといったとこだろうか。内装はチューリヒに似た白亜の劇場。規模はあのチューリヒよりもさらに小さい気がする。舞台と観客が非常に近く、「魔笛」のようなジングシュピールや、オペレッタに向いている劇場だと思う。
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演出は現代風読み替えで、タミーノは大人になりきれない、いわゆる「ピーターパン・シンドローム」のような青年。冒頭は彼の部屋から始まる。部屋にはおもちゃの城があり「僕は王子だ」とパパゲーノに説明するのは彼の想像上の設定、といった解釈のようである。大蛇に襲われるのは夢の中の事で、幕があくとタミーノはベッドのなかでうなされている。すると3人の女たちが登場して悪夢を追い払う、といった感じだ。パパゲーノは黄色いTシャツにオレンジズボン、リュックを背負って窓から入ってくる。何者なのかは謎。ザラストロは恐らく大人の社会の象徴なのだろう。スーツにネクタイという現代の大人の恰好をしている。タミーノとパミーナに試練を与え、最後はめでたく大人の社会の仲間入り、ということなのだと思う。全ては自分の中での解釈ですが。

ザラストロの団体の場面では、舞台奥に劇場の客席が出現し、本物の観客は舞台上の観客席と向かい合うことになる。セット自体はこの前見たチューリヒ、カーセンの「トスカ」のようなアイディアだ。その客席が「大人社会」を象徴しているようで、タミーノとパミーナに与えられた試練は客席を横断することだった。火と水の試練ではなく。最後は合唱団とザラストロ、そしてタミーノとパミーナがその席に着く。しかし幕切れ直前に、彼の部屋の窓枠が現れる。タミーノはパミーナの手を取り、それに駆け寄る。窓の中の子供部屋を覗き込むと、もうそこには戻れないという繊細な悲しみが伝わってくる。全体としてはタミーノがいろいろ乗り越えて大人の社会の仲間入りをする、しかしそう簡単に過去を忘れることはできないというメッセージが込められているのだと思う。設定が上手く合致しないところは多々あるが、発想自体は面白いと思う。

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アール・ヌーヴォー風の感じのいいホワイエ

音楽的な話をすると、歌手たちは残念ながら粒ぞろいではなかった。タミーノ、パミーナ、ザラストロ、夜の女王ら、比較的真面目な役柄の歌手はよかったが、パパゲーノ、モノスタートスら三枚目は声が聞こえないこともしばしば。

タミーノはとても軽い声で、一音一音丁寧に発声していて、声がよく通る。見た目も王子っぽい。まぁ今回の設定では王子ではないが。試練の前にキーンリサイドのように上裸で登場し、肉体美を披露した。話はそれるけど、キーンリサイドは舞台で脱がないことの方が少ないんじゃないのかな。さすがにパパゲーノの時は脱がなかったけど(マクヴィガー演出、ロイヤルオペラDVDの参照)。

パミーナもタミーノ同様よく通る声でバランスのいいカップル。すごく明るく響く声なので2幕の、タミーノに捨てられたと勘違いする悲しみのアリアは感じが出なかったが、ppも非常に美しくてなかなか聴きごたえがあった。彼女はとても背が低くて、子供社会のマスコットキャラクターのようにも見えた。

ザラストロはそんなパミーナとは対照的に大柄でごつい体格。頭の大きさもパミーナの2倍はあるように見えた。その頭蓋骨を共鳴させて出てくる声は重量感があり、他の歌手とは違った空気の振動を感じた。低音もよく響く。

夜の女王は1幕のアリアでなかなか抒情的に歌っていた。技術だけの歌手ではない。しかし技術面は少し弱く、最高音がやや苦しかった。それでも全体的にはよく歌える歌手で、カーテンコールでは喝采を受けていた。

パパゲーノは声が曇りガラスを1枚隔てたような、くぐもった感じで声量も乏しくて残念だった。それでもカーテンコールでやんやの喝采を受けていたのは、役のおいしさと演技力があったからだろう。2幕のアリアではベッドシーツを女の子に見立てたパントマイムを見せてくれて、面白かった。モノスタートスも声が遠くから聞こえる感じ。革ジャンを着こなし、やけに飛び跳ねていた。

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オケはなかなか良い演奏を聴かせてくれた。小規模の編成だったが、超一流のオケにないような独特の勢い(ノリ?) があって小気味よかった。フルートの音色が明るく透き通っていて、印象的な「魔笛」だった。オーボエはよく言えば気取らない素直な、悪く言えばあっけらかんとした思慮のない音色だったのが気になった。指揮はテンポを飛ばし気味で、弦の細かいパッセージがはっきり聞こえないところもあったが、そういう技術面よりオケ全体に漂う空気が気に入った。「プロだけど楽しくやっています」というようなね。

ハンガリーでは拍手をするとき、観客が1つになる。フランスのアンコールやスタンディングオベーションのように、みんなが合わせて手拍子をする。でもこれは「すごくいい!」ということではなく、普通の拍手のよう。よかった歌手が出てくるとその時は音量が大きくなるが、それでもずっと手拍子。それがどんどん速くなり、追いつかなくなるとまた半分の早さから始まる。それの繰り返し。拍手1つとっても国民性や習慣が出るんですね。

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カーテンコールの動画です。その拍手の感じを感じてください。
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