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チューリヒ歌劇場 【トスカ】

2010. . 10
Opernhaus Zürich
G.Puccini "Tosca"

2010.2.26 Fri 19:30

Floria Tosca・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Emily Magee
Mario Cavaradossi・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Franco Farina
Baron Scarpia・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Thomas Hampson
Cesare Angelotti・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Valery Murga
Mesner・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Giuseppe Scorsin
Spoletta・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Andreas Winkler
Sciarrone・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Morgan Moody
Schliesser・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Igor Bakan
Stimme des Hirten・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Claire von Ziegler

Inszenierung・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Robert Carsen
Musikalische Leitung・・・・・・・・・・・・・・・・・・Nello Santi

2月末にチューリヒに行った時の事を先に書かせていただきます。チューリヒは一番頻繁に行っている劇場だ。ヴェネツィアのフェニーチェよりもはるかに多い・・。

ハンプソンのスカルピアが聴きたくて買ったこの公演。彼の歌い方が様式というものに当てはまっているのかは疑問だが、それは別にしてハンプソンらしいスタイリッシュなスカルピアを聴くことができた。最近メトなどでもこの役を歌いだしたらしい。彼の新しいレパートリーなのだろうか?

演出は読み替えでお馴染みのカーセン。この演出の舞台は始終劇場で、舞台の上に客席、その奥にまた舞台があるというなんとも不思議な感じがする舞台装置。1幕ではカヴァラドッシは教会にではなく劇場の客席の壁に絵を描いている。テ・デウムは降臨劇のような出し物が劇場で催されるという設定。2幕では劇場の舞台裏がスカルピアの部屋になっている。実際の舞台裏のように大きく「Vietato Fumare」(禁煙)と書いてあるのに堂々と煙草を吸っているところで客席から笑いが漏れた。

タイトルロールを歌ったマギーは、この役には声が軽すぎるよう。新国「フィガロ」の伯爵夫人や「イドメネオ」のエレットラではなかなかいい歌唱を聴かせてくれたが、トスカでは低音では音程が不安定だし、Tosca(毒の意味も含む)の凄味というものは充分に出せていなかった。それでもやはり中音から高音にかけてはさすがで、「歌に生き、恋に生き」は迫真の歌唱で拍手がなかなか鳴りやまないほどだった。

カヴァラドッシのファリーナはいわゆる「テノール馬鹿」というカテゴリに当てはまるであろうテノール。声量はとてつもなく大きく、高音も良く出るのだが、抒情性というものがまるで感じられないし、棒読みならぬ棒歌いのような感情のない歌い方をする。たまに音程もぶら下がることもある。チューリヒではなかなかブーイングを聞かないが、彼には1人ぐらいブーイングしている人がいた。他の大多数は大きな拍手を送っていたが・・・。チューリヒの観客は結構甘いような気がする。

指揮はもともとカリニャーニの予定だったがサンティに変更になった。「変更後の方が大物」パターン。彼の棒のもとではオケはいつもずれがなくピシリときまるので気持ちがいい。サンティは相変わらず巨匠テンポ(超スロー)で、トスカにしてはあまりエネルギッシュな演奏ではなかったが、ここまで常識で考えられないぐらいテンポが遅くなると別の作品(いい意味で)のように感じられて新鮮。

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フェッラーラ市立劇場 【マノン・レスコー】

2010. . 04
Teatro Comunale di Ferrara
G.Puccini "Manon Lescaut"

2010.5.2 Sun 16:00
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Manon Lescaut・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Amarilli Nizza
Renato Des Grieux・・・・・・・・・・・・・・・・・Walter Fraccaro
Lescaut・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Josè Fardilha
Geronte de Ravoir・・・・・・・・・・・・・・・・・Alessandro Spina
Edmond・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Andrea Giovannini
Oste/Comandante di marina・・・・・・・・・Stefano Cescatti
Musico・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Federica Carnevale
Maestro di ballo・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Stefano Consolini
Lampionaio・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Roberto Carli
Segente degli Arcieri/Altro Sergente・・Romano Franci
Parrucchiere・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Alessandro Mathis

Orchestra Regionale dell'Emiglia-Romagna
Coro Lirico Amadeus-Fondazione Teatro comunale di Modena

Direttore・・・・・・・・・・・Gianluca Martinenghi
Regia・・・・・・・・・・・・・Pier Francesco Maestrini

フェッラーラはヴェネツィアから電車で1時間半、ボローニャから約30分のエミーリア=ロマーニャ州の小都市。ルネッサンス期にはエステ家が治めた地域で、今も街の中心にはそのお城が立っている。派手でもなく、そんなに大きくもないが質実剛健な一家だったのだろうな、と思わせるような佇まい。
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劇場はその城から通りを1本挟んだところにあり、旗が出ていないとうっかり通り過ぎてしまいそうな、なんてことない外見の建物。通りに面したバールとタバッキ(タバコ屋)と同じ建物に劇場があり、幕間には観客が劇場の外に出て、そのバールでプロセッコを飲んだりしている。正式名称は「テアトロ・コムナーレ」(市区町村など自治体の劇場)なので「市立劇場」という日本語訳が正しいかは自信がありません。すみません。
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うっかり見過ごしてしまいそうなテアトロ・コムナーレ

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歴史を感じさせる天井画

このプロダクションは、シチリア、パレルモのテアトロ・マッシモの物らしく、エミーリア=ロマーニャ州の他の都市でも同キャストで上演されていた。先月はモデナで数公演あったようだ。オーケストラは「エミーリア=ロマーニャ州管弦楽団」で、フェッラーラのようなオペラだけをやっているわけではない市立劇場は、専属のオケがないようだ。ボローニャは来日公演するぐらいなのでさすがにあったが、去年モデナで「二人のフォスカリ」を見たときのオケはパルマのオペラハウスのオケだった。今回の合唱はモデナのテアトロ・コムナーレの団体らしい。もう何がなんだかよくわからないが、イタリアのオペラハウス運営も大変そうでありますね。
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オーケストラボックスが狭いのか、打楽器はボックス席で。そして低音はチンバッソではなくテューバ

実はイタリアに居ながら、イタリアでオペラを見るのはかなり久しぶり。今回の公演で「イタリアオペラは声が第一!」精神はいまだ健在なのだな、と強く感じた。いい意味で。そして自称プッチーニ・ファンですが、恥ずかしながら「マノン・レスコー」を生で見るのは初めて。DVDで見たことはあったが、話の流れとして腑に落ちないところが多い。原作は読んだことがあって、そちらでもマノンの性格の理不尽さ(作者の意図するところではあると思うが)に驚かされたが、たった2時間のオペラであの話をキレイにまとめることは難しかったのかな。ちょっと説明不足なところが多すぎやしないか、と思った。特に4幕はDVDで見る限り無駄に長ったらしくて、少々うんざりすらした。

しかし、生で見てみるとそんなに長くも感じず(4幕も正味30分だし)、台本の不完全さをプッチーニの音楽で十分補っていると感じた。4幕だけではなく、1幕のデ・グリューのアリアのテーマは耳について離れないほど単純かつ秀逸だし、2幕ではそのテーマを匂わせて違う旋律を奏でてしまう「ジラし」がいかにもプッチーニらしくてニクい。間奏曲も個人的には他のどのオペラの間奏曲より好きです。(そんなにたくさんの「間奏曲」を知ってるわけじゃないけど)なんかプッチーニ特有のノスタルジアを感じますね。

さて、公演そのものはさっきも書いたように「声が第一」というイタリアオペラの信条のようなものをひしひしと感じるものだった。タイトルロールのニッツァはかれこれ7,8年前ぐらいに新国の「トスカ」を歌っていたのを聴いたことがあったけど、さすがにその時の事は覚えていない。その後も何回か来日しているみたい。正統派イタリアンソプラノと言えるような熱い歌唱を聴かせてくれた。細身で、モデルといっても通用しそうな体型にもかかわらず声量はしっかりあるし、声質もプッチーニの主役たちを歌うのにぴったりの声をしていると思った。

デ・グリューのフラッカーロは新国の「トゥーランドット」、フェニーチェの「カヴァレリア・ルスティカーナ」で以前に聞いたことがある。ロブストで太い声の持ち主。少し野暮ったい感じはするが、それでも声の力で十分魅せられる。ニッツァとの二重唱は声の饗宴といった感じで、なかなか良かった。

マノンの兄レスコーを歌ったのはポルトガルのバリトン、ファルディッラ。メータ指揮、紫禁城での「トゥーランドット」のDVDでピンを歌っていて、そちらでもしっかりとキャラの立ったピンを演じていた。生で聴くのは初めてだが、とても声の通るバリトン。声自体に際立った個性はないが、安定していたので安心して聴けたし、演技も主役2人に比べたらしっかりしていた。かといって2人が演技をしていなかったというわけではないが。

ジェロンテのスピーナ、エドモンドのジョヴァンニーニをはじめ、他の脇役たちもイタリアの地方劇場にも関わらず、粒ぞろいでしっかりした歌手たちを起用していた。たまにチョイ役だと、地元で長く歌っているものの、あまり声の良くない歌手を使ったりすることもあるみたいだが、今回は3幕に出てくる明り消しの男ですらいい声をしていた。

マルティネンギ指揮、エミーリア=ロマーニャ管は不思議なことに視覚と聴覚では違う印象を受ける。天井桟敷の下手側、オーケストラボックスの斜め上ぐらいに座ったからオケも良く見えたのだが、オケのメンバーはいかにもつまらなそうに、余計な動きはなしで演奏していた。これを見ただけではエモーショナルな演奏と対極な音を出すと思ってしまう。ところがどっこい、出てくる音はプッチーニらしく、登場人物の揺れ動く心情をエモーショナルに表現した音楽だった。こういう音楽ではオケもついつい感情的になって体を動かして演奏することもよくあるが、そんなことしなくてもちゃんと表現できるんだ、と改めて思った。音楽第一!

マエストリーニの演出はオーソドックス中のオーソドックス。今どきドイツやフランスではなかなかお目にかかれないような舞台だけど、決して手抜きではない。幕が開いたとたん18世紀のフランスにすんなり入っていける。衣装も細かいところまでしっかりしていたし、エドモンドの白めのメイクが自分のイメージの中のフランスにぴったり合致した。1幕は更紗を使っていて、舞台全体が昔を回想したかのようなほんわかとした温かい雰囲気で包まれていた。1幕のなんとも言えないノスタルジックなプッチーニの音楽とよく合っていた。

ジェロンテは車いすに乗ったよぼよぼの老人。2幕の幕開けはマノンの入浴シーンから始まり、ニッツァは実際に背中ヌードを見せていた。彼女ぐらいの体型じゃないとこれはできないよなぁ。車いすと部屋での入浴、キューブリックの映画「バリー・リンドン」を思わせるアイテムだ。この舞台の美しい視覚効果や照明、衣装などを見ると、もしかしたらあの映画を参考にしたんじゃないかという想像が膨らむ。

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2幕の舞台

各幕の終りにカーテンコールがあったが、たまに順番やタイミングがおかしいことがあり観客の拍手もあまり大きくなかった。全幕最後は主役2人と指揮者のみのカーテンコールだったが、拍手やBravoが予想以上に少ない。もしかしたらフェッラーラの聴衆は厳しいのかもしれない。

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