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バイエルン国立歌劇場【セヴィリアの理髪師】

2010. . 18
Bayerische Staatsoper
G. Rossini “Il Barbiere di Siviglia”

2010.3.13 Sat. 19:00

Il Conte Almaviva・・・・・Javier Camarena
Rosina・・・・・・・・・・・Silvia Tro Santafé
Figaro・・・・・・・・・・・Nikolay Borchev
Don Bartolo・・・・・・・・・Renato Girolami
Don Basilio・・・・・・・・・Anatoli Kotscherga
Fiorello・・・・・・・・・・Christian Rieger
Berta・・・・・・・・・・・・Lana Kos

Inszenierung・・・・・・・・・Feruccio Soleri
Musikalische Leitung・・・・・・Christopher Ward


まだ冬休み中に見たオペラの事を全て書いてはいませんが、先週末ミュンヘンに行ってきたのでそのことを先に書きます。全然時系列順ではないですが、ご了承ください。

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今回は週末に2日連続で「セヴィリア」と「フィガロ」が上演されるというので、夜行電車に乗ってわざわざミュンヘンまで足を運んだ。実はこの2作品を続けて見るというのは長年の(そんなに長くないけど)ささやかな夢だった。理想は同じプロダクションチームの制作なんだけど、今回は全く違うみたい。それでも構わない。理想はこれからも追い続けます。

この劇場は昨年末「ラ・ボエーム」を見に来たが、その時とは違いすぎる席に座った。「ボエーム」は3階下手側の舞台に一番近い、特等席のような席だったが(開演前に「チケット求む」を持って立って譲ってもらった€70)、今回は€11,50の最上階の席。今回はちゃんとオンラインで予約して行ったが、そのおかげでどんな席かは行ってみてからのお楽しみ。いざ劇場についてみて席に着いてみると、舞台が全く見えない!!それもそのはず、これはスコアリーディング席だったんだ。最上階の立ち見のさらに後ろの、椅子がある席。暗くなっても手元が見えるようにちゃんと読書灯のようなものが付いている。

最初の方は身を乗り出して頑張って見ようとあがいてたけど、いくら頑張ってもせいぜい舞台の上部の字幕が見えるのが関の山だったので、途中から諦めて座って目を閉じて音楽だけに集中した。オペラを見に来て目を閉じて音楽だけ聴いているというのは何とも不思議な、変な、損したような贅沢なような複雑な心境になった。同じ列には数人聴衆がいたけど、みんな持参したスコアを読んでいるか、目を閉じて音楽に集中していた。地元の人ならこれでいいけど、ヴェネツィアからわざわざ来てこれじゃ報われない・・・と心の中でブー垂れていたら前の列の立ち見席のおばちゃんが「こっちこいよ」と言ってくれた。お陰で途中からは視界のいい立ち見席で問題なく舞台を見ることができた。外国人だと得する例の一つかな。

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控え目で上品なシャンデリア

さて、公演自体は有名歌手もいないしさして期待はしていなかったけど案外良かった。ベテランと若手が混然一体となってフレッシュな舞台を作り上げていた。それぞれの役に年相応の(少なくともそう見える)歌手を配置しているのがいい。

ロジーナを歌ったスペインのメゾ、トロ・サンタフェは1月、チューリヒの「チェネレントラ」で一度聴いている。バルツァを彷彿とさせる声と、充分なテクニックを兼ね備えた注目の若手だと思う。今回の「セヴィリア」は前回の「チェネレントラ」よりソロの見せ場が多い。”Una voce poco fa”のカデンツァも見事だった。原曲の形がなくなるぐらいまでいじっていたが、元々歌手の技術ご披露のところなのでこれが正しいのかな、なんて思う。レチタティーヴォなどで少し音程が不安定になるのが気になるなど、少し荒削りなところはある。これから洗練されてさらに技術が磨かれればかなりいい歌手になるのではないか、と個人的に踏んでいる。

アルマヴィーヴァ伯爵は予定されていたAlek Sharderからカマレーナに変更されていた。彼はメキシコ出身で2004年にデビューしたという若手テナー。ロッシーニのオペラは何回も見ているが、案外満足できるテナーに当たることが非常に少ない。声質が悪かったり、技術不足だったり。しかしカマレーナは美声も技術も両方兼ね備えていて久々に満足できるアルマヴィーヴァだった。それにしてもどうしてテナーには中南米が多いんでしょうか。アルヴァ、アライザ、ヴァルガス、フローレス・・・。

カマレーナの声はまさに正統派といった感じで、フローレスやシラグーザのような強烈な個性はないけど安心して聞いていられる美声と安定感が素晴らしい。演技もなかなかで、2幕のアロンゾに変装する場面では舌足らずの喋り方をしてかわいかった。今考えてみるとスペイン風の発音をしていたのかもしれない。

ボルシェフは細身でスマートなフィガロだった。声質は柔らかく温かく、ガツンとくる感じではなかったが早口も整然と歌っていた。男らしさよりは知性を感じさせるフィガロ。ただその声の柔らかさから、たまにオケに埋もれてしまうこともあった。惜しい!

バルトロのジローラミはカリアリ歌劇場の「ボエーム」のマルチェッロ、ナクソス「ドン・ジョヴァンニ」のレポレッロのディスクで聴いたことはあったが実演は初めて。録音を聴くと結構荒削りなバリトンといった印象だったが、歳をとって丸くなったか、今回のバルトロは軽めの声ながら荒削りではなかった。早口もいい。裏声が得意らしく、しばしば見事な裏声で会場を沸かせた。

バジーリオのコチェルガは大ヴェテラン。テナーは中南米、バスは旧ソ連、東欧。彼もウクライナ出身。他の歌手とは比べ物にならない巨大な声で劇場を震わせたが、指揮をよく見ないのか、アリアでもオケとずれまくってもったいなかった。

ベルタのコス、フィオレッロのリーガーら脇役もしっかりしている。特にリーガーはこの役にしておくにはもったいないほどよく聴かせる歌手。幕が開いてすぐ、ハッとさせられた。

指揮のWardは若手のよう。譜面にかぶりついてキチキチっとした指揮をする。経験不足か、アンサンブルを上手くまとめられない節も見受けられた。それでもオケは透き通った音色で素晴らしい演奏を聴かせていたが。

演出はオーソドックス中のオーソドックス。ポネルの舞台装置を思わせるセヴィリアに実際ある白壁の家。再演を重ねているのか、結構使いこまれた装置のようだった。歌手たちの演技もしっかりしていたので安心して楽しめる舞台になっていた。再演になると演技が希薄になるプロダクションもあるが、これは違う。登場人物がいきいきと描写されていて、笑いどころも押さえている。

アンサンブルの乱れ、オケと歌手のズレなどでハラハラさせられることも多かったが、主役3人の若手が生き生きとして音楽的にも満足できたので、すっきりした気持ちで劇場を後にできた。イタリア語のオペラを見た直後に、周りの人がドイツ語をしゃべっていると一気に現実に引き戻される気がする。それを言ったら日本では、劇中の言語と喋る言語が一致しないのはいつもの事だが。

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終演後、すぐに舞台のバラしをしていた
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パリ・オペラ座(バスティーユ) 【ウェルテル】

2010. . 11
Opera National de Paris (Bastille)
J.Massenet "WERTHER"

2010.1.17 Sun 14:30

Wherther・・・・・・・Jonas Kaufmann
Charlotte・・・・・・・Sophie Koch
Albert・・・・・・・・Ludvic Tézier
Sophie・・・・・・・・Anne-Catherine Gillet
Le Bailli・・・・・・Alain Vernhes
Schmidt・・・・・・・Andreas Jäggi
Johan・・・・・・・・Christian Tréguier
Brühlmann・・・・・・Alexandre Duhamel
Kätchen・・・・・・・Olivia Doray

Mise en Scéne・・・・・・Benoît Jacquot
Direction musicale・・・・Michel Plasson

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かつてフランス革命で襲撃された、あの牢獄あったバスティーユ広場に1989年にできた「オペラ・バスティーユ」は内装、外装共にとてもモダン。今ではオペラ公演はほとんどがこのバスティーユで行われており、古いほうのガルニエは主にバレエやバロック、古典派のオペラ中心に上演している。どちらも「パリ・オペラ座」ということになっている。

こちらは開演約1時間半前から当日券を販売しており、学生優待などもないので老若男女長蛇の列に並ぶことになる。ただウィーンなどと違うのは待ち列が野外だということ。一応屋根の付いているところから列が始まるので早く並べば雨でも濡れないが、この時期だとパリの寒風が容赦なく突き刺さる。

この時は初めてだったので、念のために10時半ごろからならびはじめて12番目だった。(14時半開演なので)13時に買えたが、いくら晴天だったとはいえ、1月のパリで約2時間半、外で待つのはかなりつらいものがある。寒さは何よりも足から体を蝕み始め、どんどん体温を奪っていく。暇つぶしのための本はたっぷり持っていったから時間をつぶすのには問題なかったが、最後の方には手袋をしていても本が持てないぐらいに手が悴んでしまった。靴に入れるホッカイロが必要だと思った。2時間半待って暖かいロビーに入って、チケットが買えた時の喜びは本当にひとしお。それでも立ち見(€5)だからこの後もずっと立ちっぱなしなのですが・・・。

劇場自体は規模がかなり大きく、立ち見席はウィーンと同じく1階最後方にあるけど、ウィーンとは比べ物にならないほど舞台から遠い。2階席のせり出しにすっぽり覆われているので音響もあまりよくないが、舞台全体がちゃんと見えるのでまあいいでしょう。

立ち見席というのが社会の縮図を見ているようで面白い。「オペラが好き=ブルジョワ、インテリ」みたいなのでは決してないことがよくわかる。近くのスーパーに買い物に行く恰好みたいなおばちゃんもいるし、休憩時間に持参したパン(もちろんフランスパン、バゲット)をむさぼりながらオペラのアリアを鼻歌で歌ってるおじさんもいる。

立ち見席から平土間に移ろうとするおじさんおばさんと、係員のいたちごっこは見もの。開演ギリギリになって立ち見席からするりと柵を抜けて1番高い席にちゃっかり座っちゃう。でも暗くなるギリギリにその席の持ち主が来て「そこ俺の席だよ」とか言われて「あぁ」ぐらいしか言わないでのこのこと立ち見に戻ってくる。

しかし、そこで諦めないのがパリの紳士淑女。暗くなって指揮者入場と同時にまた平土間入場を果たす。上手く座れる人もいれば、予想以上に暗くなっちゃって足元が見えなくてうろうろしてるうちに係員に引き戻される人もいる。フランス人。パリジャン・・・。

イタリア人同様、上演中にうるさいのもフランス人の特徴。オペラをあまり見慣れてないのか、「愛している!」とか「俺はここだ!」みたいなちょっとオールドファッションドな台詞が出てくると「なんだあれへんなの」みたいに笑ってるいい歳したオッサンが立ち見席にいた。そりゃマスネは母国語だから変に聞こえるかもしれないけどいちいち騒ぐのは中学生じゃないんだからやめてほしい。そんなことがあると前の客に「シー!」っとやられたり、休憩時間に口論になったりするのである。議論も自己主張もエゴも激しいフランス人・・・。

フランスのコンサート、オペラのプログラム売りは叫ぶ。「ポーギゥラーン」って最初は何言ってるのかと思ったが、どうやら「プログラム」らしい。他の国ではこんなの見たことないが、パリではシャンゼリゼでもオペラ座でもシャトレでもプログラム売りは叫ぶ。フランスの伝統なんでしょうか?

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せっかくフランスに来たし、ってことで奮発してシャンパン


さて、オペラ自体はあの有名なゲーテの「若きウェルテルの悩み」がベース。疾風怒濤(シュトルム ウント ドランク)そのものといった感じ。原作はもちろんドイツなんだけど、マスネの手によってこてこてのフランスオペラに仕上げられている。僕はフランスの、特にマスネの説明しようのないぐらい微妙で美しい音楽がたまらなく好きです。

公演そのものもなかなか完成度が高くて、満足できるマスネを聴かせてもらえた。プラッソン指揮のオペラ座管は作品の様式にぴったりはまっていた。フランス音楽特有の微妙なニュアンス、しなやかさなどが自然に出ていて、やはり「土地に行ったら土地の物」というのが一番だなぁ、と感じた。特にガルニエ、シャトレの公演を聞いた後に。

タイトルロールを歌ったカウフマンがメランコリックすぎるぐらいメランコリックなウェルテル像を確立していて素晴らしかった。この役はロマンティックで夢見がちという解釈も結構あるが、この演出ではストーカーに近いちょっと危ないぐらいシリアスな人間になっていた。カウスマンの演技と、その重めの声質がそんな演出家の解釈と巧く融合していたと思う。それにしてもカウフマンはいい声をしている。とくにドン・ホセとかウェルテルみたいな役が巧い。

シャルロッテのコッホは序盤、存在感があまりなかったが3幕からはダイナミックかつ繊細な歌唱を聴かせてくれた。とくに特徴のある声ではないが、発声が綺麗で聴いていて気持ちがよかった。

アルベールを歌ったテジエは最近売れっ子のフランス人バリトン。しかし小ぢんまりとおさまってしまい、可もなく不可もなくという印象だった。小柄なせいかどうかは定かではないが、声も小粒。それでもけっこうイケメンだから、こういう人材が現代のオペラ界に必要とされているのか。

Vernhes, Gilletをはじめ、脇役の歌手もかなりしっかりとしていて良かった。やはり母国語のオペラだと座付きの歌手もやりがいがあるといったところか。ヨハン、シュミッドの三枚目コンビも余計に出すぎないしっかりとした個性を持って演じていて感心した。

Jacquotの演出はプレミエながら珍しくオーソドックスなもの。しかし先ほど述べたように人物にしっかり味付けがされていたし、舞台装置が息をのむほどに美しい。1,2幕はアンソールの骸骨の絵の背景にあるようなぼんやりとした曇り空が背景で、照明によってそれが夕焼けになったり青空になったりする。1幕では手前に小屋があり、2幕は高台の上の広場のようなところが舞台。モンマルトルの丘の上にいるよう。

3幕は幕が開いた瞬間ため息が漏れてしまった。ハンマーショイの絵の世界がそのまま舞台上で具体化されていた。ストレーレル演出の「フィガロ」の3幕のような奥行きのある部屋の片隅にアップライトピアノ、そして窓から漏れる日光。素晴らしかった。個人的には元々の設定から大きくはずれず、それでいてスパイスが効いていたり、絵のオマージュがあったりする、単純に美しい!と思える演出が好き。魔女がラジオ体操したり、公爵がリムジンに乗ってたりするのも否定しないけど、やはりね・・・。

4幕はうって変わって、暗闇に包まれた舞台の中心に正方形のウェルテルの部屋がポツンとあるだけ。空間が凝縮されていてすっとドラマに引き込まれる。3幕の広大な部屋と対照的なところも印象づけられる。

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久しぶりに単純に「いい!」と個人的に思える演出に出会った。公演が終わるころには空が暗くなりはじめていた。

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(フランス人に対して差別的に思われる文があったかもしれませんが、あれは決してネガティヴな感情ではなくて親しみと敬意を込めて言ってるだけなのであります。その辺りをくみ取っていただければ嬉しいです。)


パリ・シャトレ座 【ノルマ】

2010. . 08
Théâtre du Châtelet
Bellini “NORMA”

2010.1.18 Mon

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Norma・・・・・・Lina Tetriani
Adalgisa・・・・・Paulina Pfeiffer
Pollione・・・・・Nikolai Schukoff
Orveso・・・・・・Wojtek Smliek
Clotilde・・・・・Blandine Staskiewick
Flavio・・・・・・Luciano Botelho

Mise en scène・・・・・・・・Peter Mussbach
Direction Musicale・・・・・Jean-Christophe Spinosi

シャトレ座はセーヌ川沿いに、主にミュージカルなどを上演する市立劇場と向かい合って建っている。規模はそんなに大きくない。ロビーも狭くて休憩時間は人でいっぱいになる。ボックス席はない。€25の4階の席を買った。柱がやや視界をさえぎるがそんなに気にならない。それより気になったのは座席の狭さ。前の人の頭が足のすぐ近くにある感じで下手に動けない。

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こちらはお向かいの市立劇場

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こちらがシャトレ座

結果からいうとこの公演は大ブーイングだった。こんな見事なブーイングの嵐を体験したのは生まれて初めて。それは演出のムスバッハに対してだった。彼は月のような球体を何かの象徴のように使っており、地球ではないどこかの星が舞台のようだった。それになぜかポリオーネが半裸でC3-POのような全身金塗り。カーテンコールで演出家が出てくると、ブーイングだけじゃなくて何かを叫んでる人もいた。だいたいがフランス語だったから分からなかったけど、後ろにいたイタリア人は「Pagliaccio!!」と叫んでた。元々「道化師」って意味だけど「笑わせんじゃねえよ馬鹿野郎」ぐらいの意味だろう。

それとは関係ないが、開演前に支配人らしき男が出てきて何かを言っていた。その時は何言っているか分からなかったけど、Smliekが演技と歌を別の人がやるというオペラ映画見たいなことをしていたから、きっとそのことを言っていたんだと思う。歌手は舞台袖で歌い、役者が口パクで演技していた。これは演出上のことなのか、それとも歌手が上手く演技ができないからこうなったのかは分からなかった。

シャトレ座は非常に不思議な響き方をする劇場らしく、最初はPAを使っているのかと思ったほどだ。やや人工的にだが、よく響く。

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劇場内部 客席数約2500のこぢんまりとした劇場

じつはベッリーニのオペラを見るのはこれが初めて。ベルカントオペラの代名詞のような「ノルマ」。やはりタイトルロールを十分聴かせて歌うというのは難しいようである。カラスは”Casta Diva”が全オペラのアリアの中で一番難しいと言ったというのを聞いたことがある。この日タイトルロールを歌ったTetrianiは惜しかった。幕を追うごとに連れて声は出てはきたが、いかんせん息が短い人らしくフレージングも短い。最大の聴かせどころ”Casta Diva”ではこの息の短さは如実に表れてしまい、巧くなかった。

対照的にアダルジーザを歌ったPfeifferは最初からふくよかな声質でたっぷりと歌って好印象。実際この公演では彼女が一番良かった。最近はこの役をメゾが歌うことが多いようだが、彼女は深い声もよく歌えるソプラノ。高音の伸びもいい。最初っからPAを使ってないと分かっていればもっと楽しめたのに・・・。彼女の声を聞きながらずっとPAじゃないかって疑っていた。でも彼女が弱音で歌った時に、これはPAじゃなくて劇場の音響なんだ、ってことがわかった。

ポリオーネのSchukoffはあまり好きではない声質。素直な声をしているものの、高音に差し掛かっても何の感情の起伏も感じられない。フィレンツェで見た「リゴレット」のヴァレンティを思い出させた(あれはPA使っていたようだった)。

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大ブーイングだったカーテンコール

公演とは直接関係ないが、【Le Concert】(邦題【オーケストラ!】)という新しい映画のロケでシャトレが使われていた。なにやら「シャトレ座全面協力!」らしい。エールフランスの機内でこの映画を見たが、なかなか面白い映画だった。日本のPRは単純なコメディのようになっているがどちらかというと政治色が強い考えさせられる映画だった。最後のシャトレでのチャイコンの演奏シーンでは結構感動してしまった。ヴァイオリニスト・ヒロインのメラニー・ロランはタランティーノの「イングロリアス・バスターズ」にも出ていた。好きな女優の一人。


では最後にその猛烈なブーイングをお聞きください。




パリ・オペラ座(ガルニエ)【イドメネオ】

2010. . 07
Opera National de Paris (Garnier)
W.A.Mozart “IDOMENEO”

2010.1.20 Wed

Idomeneo・・・・・・・・・Charles Workman
Idamante・・・・・・・・・Vesselina Kasarova
Ilia・・・・・・・・・・・Isabel Bayrakdarian
Elettra・・・・・・・・・・Tamar Ivari
Arbace・・・・・・・・・・Lothar Odinius
Il Gran Sacerdote・・・・・Xavier Mas
La Voce・・・・・・・・・・Nahuel di Pierro
Due Cretesi・・・・・・・・Claudia Galli, Anna Wall
Due Troiani・・・・・・・・Manuel Nuňez Camelino, Vladimir Kapshuk

Mise en scène・・・・・・・・Luc Bondy
Direction Musicale・・・・・・Philippe Hui


久しぶりの更新になります。ほったらかしていてすみませんでした。学校が始まって少し忙しくなりましたが、暇を見てちょくちょく更新したいと思います。どうぞよろしくお願いします。

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パリには1月14日から21日までいました。もう一生パリに来なくていいようにたっぷり観光しよう!と意気込んでおりましたがそれでも見足りない。しかもパリは恐らくヨーロッパで一番オペラ劇場が多い街のようなのでまた来ることのなると思いますが・・・。

パリにいる間、バスティーユとガルニエの両方でオペラが見られる機会に恵まれた。シャトレも行けた。

シーズンブックに書いてあったこの公演のキャスト
イドメネオ・・・・ローランド・ヴィラゾン
イダマンテ・・・・ヴェッセリーナ・カサロヴァ
エレットラ・・・・アンナ・ネトレプコ


こんな地震と火山噴火と雷と大恐慌が一度に来たみたいな大変なことがあるのか?!と目を疑ったが、実際はヴィラゾンとネトレプコは出なかった。ポスターにもチラシにもそんなことは書いてなかった。シーズンブックの誤植か?それにしても罪な誤植だ。これを目当てで来た人はどうするのだろう?

それでもカサロヴァは出るし、イヴェーリが出るしガルニエだし見る価値ありそう、と期待して行ったがそれほどでもなかった。インターネットで「当日券は根気よくならんで取りましょう」というのを見たので張り切って16時頃ボックスオフィスに行ってみたら、すんなり€7のチケットが取れた。上手側二階、舞台から4つ目ぐらいのボックスの3列目の席で、舞台は立たなきゃ見えないが、立ったから見えた。それでも上手側は1/3は見切れる。ボックスだとコートを預けなくてもいいから楽でいい。
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指揮者が変更になっており、もともとの指揮者は若手女性指揮者だった。どの段階で変更になったかは知らないが、実際の指揮者はそつなくこなしたという感じ。けどホルンがやたら外す。しかもカサロヴァが1幕のアリアを割と綺麗に歌いきった後奏で。これはひどい。このあたりから空気が悪くなった。

それと幕を操作する人が初心者なのか、それとも機械の不調だったのか、わけのわからないところで幕が半分降りることが何回かあった。演出なのかな?それにしてはよく意味が分からない。カーテンコールで歌手が出てきた途端幕が下りることもあった。事故か嫌がらせかはわからない。そのような一つ一つの事故が重なってオケにも舞台にも、なんかダラダラしたしまりのない空気が流れていた。ぬるい。ぬるすぎる舞台。

この日一番大物のカサロヴァは、年々低音のドスが効いてきている気がする。モーツァルトのアリア集のCDを出したころは、今とは別人のような割に素直な声をしていた。これをどう取るかは好みの問題。僕は割と好きです。今回のようなズボン役だとそれがピッタリはまるんだけど、チェネレントラみたいな無垢で純真、っていう役だとちょっと性格上の説得力に欠ける(笑)それでもパリの観客はあまりお好みではなかったよう。大歓声が上がったわけではなかった。確かに安定してるんだけど、あの下からしゃくる癖のある発声をやりすぎている感はあった。

この日一番称賛を浴びたのはイヴェーリ。細いラインの声だが、力のあるまっすぐとしたよく通る声をしている。すっと長く冷たい日本刀のような声。1幕で寝そべりながら歌う、という無理な体勢で歌わされていたが発声は崩れていなかった。3幕の狂乱のアリアはややおとなしめな印象を受けたが、崩れることなくよく歌っていた。彼女は音の始まりが遅いのか、指揮者を見ていないのか分からないが、たまにオケとズレることがあった。高音は素晴らしいが、低音は弱いようだった。

イリアのバイヤクダリアンは透明感のあるいい声をしているがややこぢんまりとした印象。まぁ、この役にそんなスケールの大きさが必要かと言われるとそんなことはないかもしれないが。カサロヴァとの二重唱が見事。

イドメネオを歌ったワークマンは、ブラヴォーを浴びていたが個人的には好きではない歌い方。声の重心が低い方にあって落ち着いたいい声をしているのだが、一音一音クレシェンドをかける。歌詞の発音も明瞭ではないことがある。3幕で聴かせた高音のppは確かに美しかったが。

ボンディのこのプロダクションはパリではプレミエ。リセウのプロダクションを持ってきたらしい。荒波の描かれた舞台背景と地面の亀裂ぐらいであとは特に舞台装置はない。合唱がナチに迫害されるユダヤ人みたいな恰好で出て来たからそういう読み替えかと思ったが、特にそういうわけでもなかった。3幕の幕切れは雷鳴が轟き、オケがディミヌエンドして終わるという、ハッピーエンドではない含みのある終わり方にしていた。

なんだかキレのない舞台だったが、劇場自体は素晴らしく豪華。休憩時間にブラブラしてるだけで優雅な気分に浸れる。公演のぬるさと劇場の豪華さのギャップが虚しいパリの夜でした。

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ヴェルサイユではなくて劇場の回廊

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「オペラ座の怪人」でも有名な風景。上はマスカレードが行われていた正面階段。下は落ちてくるシャンデリア。シャガールの天井画が美しい。

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