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チューリヒ歌劇場【チェネレントラ】

2010. . 15
Opernhaus Zürich
G.Rossini “LA CENERENTOLA”

2010.1.5 Tue

Angelina・・・・・・・・Silvia Tro Santafé
Don Ramiro・・・・・・・John Osborn
Dandini・・・・・・・・・Oliver Widmer
Don Magnifico・・・・・・Carlos Chausson
Clorinda・・・・・・・・・Sen Guo
Tisbe・・・・・・・・・・Irène Friedli
Alidoro・・・・・・・・・Umberto Chiummo


Inszenierung・・・・・・・Cesare Lievi
Musikalische Leitung・・・Muhai Tang


てっきりバルトリが出ると思い込んでた公演。チケットを買ってから違うことに気づいた。それにアリドーロのポルガーがキャンセルしてしまった。しかしそれでもこの劇場の歌手の力を感じることができた。オケはよくなかったが・・・。

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ポルガーのキャンセルを知らせるポスター

チューリヒ歌劇場は湖のほとりに堂々と、というよりかわいいサイズで建っている。劇場のサイズは新国より小さいぐらいで、無駄な響きがなく音が素直に聞こえてくる。この規模の劇場で、ヌッチ、ライモンディ、クーラ、フリットーリ、ハンプソンといったスター歌手が続々出演しているのだから、世界一贅沢な劇場と言えるかもしれない。
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この日は大雪で、昼間も大通りにはほとんど人影がなかった。近くのCDショップではオペラのCD、DVDの品ぞろえがよく、試聴も座ってゆっくりできる。入り浸った。

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これぐらい、地元の人にとっては大雪じゃないのかもしれないけど・・・

主役を歌ったサンタフェはバルツァの若いころの声に似ている。声量もあるし、アジリタもいい。バルトリが出なくてもこれはこれでいいチェネレントラ歌いに巡り合えたのでよかった。

この劇場ではお馴染みのショーソンは意外にも凄い声量。DVDで見る限り、小柄だしそんなに声量はないのかと思いこんでいた。2曲のアリアの早口も余裕でこなすし、演技力が素晴らしい。ちゃんと歌詞の意味を把握して歌っていることが分かる。

ウィドマーもお馴染みの顔。隣に座ったおじさんはウィドマーのファンだと言っていたが、この日はあまり調子が良くなかったようだ。溌剌としたハイバリトンで、かなり独特の歌い方はウィドマー節といったところ。しかし早口では声量がガクっと落ちてしまい、オケに埋もれてしまったのが残念。それでも観客は声援を送る。きっといつもの彼の実力を知る地元の観客なんだろう。

個人的にあまり好きではないオズボーンがラミーロを歌ったが、この日はまぁよかった。今まで小澤の「セヴィリア」と何かで実演に触れて、そのいやな歌い方にうんざりしていた。まさかスイスまできて彼に当たるなんて・・・と思っていたが高音が素晴らしかったことは認めないわけにはいかない。2幕のアリアではカデンツァもたっぷり聴かせるし、最後の高音も完璧に決めた。それでもやはり中音域以下のなよなよした声質はどうしても好きになれない。あれだけ高音をキメたにもかかわらず、観客の反応がそこまでよくないのには、そのことに原因があると思う。

アリドーロを代役で歌ったChiummoはもう少し深みが欲しいところ。ポルガーの低音を期待していた者にとっては物足りない。それでも軽いなりによく歌っていたし、ちょっとした演技がうまい。長身で痩身でまだ若い。これが王子の家庭教師か、と疑問に思ってしまうぐらい若いが、独特の存在感を舞台上で示していた。家庭教師というより天使という扱いの演出だったようで、背中には羽根が生えていた。真面目な顔で羽根をピクピクさせるから面白い。

姉妹の女声二人を含め、アンサンブルがとてもうまい。座付きの歌手が多いからか、お互いの声を上手く把握しているようだった。

オケは意外にも残念な結果。最終日、主役がバルトリではないということもあって気が緩んでいたようだ。オーボエが2回ぐらい変な音出したし、1幕のフィナーレの後奏では弦と管が見事に1拍ぐらいズレた。Vnで一人ダ・カーポし忘れた人がいて飛び出したりもしていた。それとホルンの音色が独特の濁り方をしていた。これはいい悪いの問題ではなくて個性なのだろうか。タンの指揮はかなりテンポ遅めで、ロッシーニにしては落ち着きすぎている印象。後ろから見ると、体型や振り方が山下先生っぽいなと思った。

演出は1930年代ぐらいに設定を移している。シンプルなセットだが、1幕のパパのアリアで実際に羽根の生えたロバを出すなど、面白いアイディアが光った。かなり笑わせる演出で、歌手の演技力の高さも相まって客席は相当沸いていた。ダンディーニがドン・マニフィコ家の居間のチョコレートをポッケぱんぱんになるまで詰め込んだり、1幕の最後の席取り合戦がよかった。ブッファはこうでなくっちゃ。
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ウィーン国立歌劇場【運命の力】

2010. . 13
Wiener Staatsoper
G.Verdi “La Forza del Destino”

2009.12.23 19:00

Marchese di Calatrava・・・・・Dragoljub Bajic
Padre Guardiano・・・・・・・・Ferruccio Furlanetto
Leonora・・・・・・・・・・・・Nina Stemme
Don Carlo・・・・・・・・・・・Marco di Felice
Alvaro・・・・・・・・・・・・Francesco Hong
Fra Melitone・・・・・・・・・・Sorin Coliban
Preziosilla・・・・・・・・・・・Nadia Krasteva
Mastro Trabuco・・・・・・・・・Benedikt Kobel
Curra・・・・・・・・・・・・・・Simina Ivan

Dirigent・・・・・・・・・・・・Paolo Carignani
Inszenierung・・・・・・・・・・・David Pountney


€4(ロイヤルシート下)の立ち見席で見た。当日券発売20分前に行ったらすでに35人ほど並んでいた。けど、席の位置としては前から二番目で、上に屋根がかぶらないいい席で見ることができた。

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この公演はフルラネットお目当てで買ったが、他の歌手たちもなかなか良かった。特にシュテンメ。他の主役男声2人は声こそは悪くないものの、下手な演技で白けまくってしまった。

フルラネットは相変わらずくせのある声で魅力的だった。声量もまだまだ充分で、これから先も当分は聞けそう。安心した。特に目立った演技はしなくとも声で魅了できるし、立って歌っているだけでもその貫禄と、歌唱からにじみ出てくる神父の温かみで総合的に満足できる。シュテンメは奥深く、余裕のある声でたっぷり歌っていた。フリットリのふくよかな声を連想させたが、シュテンメはさらに鋭角的な響きも使い分けて出すことができる。今回の公演は彼女とフルラネットの、2幕終盤の二重唱がハイライトだった。

他の男声お二方はこれがウィーンデヴューだったらしい。アルヴァーロを歌ったホンは11月、トリエステの「トロヴァトーレ」で聞いて、声がいいのは知っていた。が、今回も前回も演技が皆無。いや、何もしない方がまだまし。両手を前に出して60年前のオペラさながらのアクション。しかもそれを1つのアリアで何回繰り返したことか。いくら声がいいとはいえ、21世紀はこれでは通用しない。ただ、声がいいことはすこぶるよくて、高音も滅法強い。声量も異常なまでにあり、高音を伸ばすところでは鼓膜が破れるんじゃないかと思うぐらいだった。この日一番喝采を浴びていたようだが、あとは演技が問題。それをクリアすれば滅多に現れない逸材と言っても過言ではないと思う。まだまだ若いようで、楽屋口にはご両親と思われる韓国人中年夫妻の姿が見えた。

ドン・カルロのディ・フェリーチェも同じくウィーンデヴュー。彼もやはり棒立ち、紋切型の手の動き。2人ともイタリアでのキャリアを積んでいるので、イタリアではこれでまかり通っているのか?と思ってしまう。イタリアでもここまでひどいこともそんなにないと思うのだが。確かに演出よりも声重視なのはイタリアの傾向としてみられるが・・・。彼も声量はあり、聞かせるとこでは聞かせたが、ずしんと来る声の芯のようなものがない。特に高音に差し掛かると、振幅の細かいヴィヴラートでごまかしてはいるが、音の中核が欠けていて空中分解してしまいそうな声の時もあった。3幕、友情を誓った戦友がアルヴァーロだと判明した後、復讐を誓う場面は、なんとも張りのない、いっぱいいっぱいの声のように聞こえた。もっともテンポが遅すぎて、緊張感のないものになったのは指揮者のせいでもあると思うが。

プレツィオジッラのクラステヴァは日系アメリカ人のような顔つきだったが、真相は分からない。ショートパンツ、赤い衣装のカウガールのような格好での登場だったが、スタイルが良くなかなか似合っていた。細かいステップを踏んだり、踊ったりするとこもあったが様になっていた。しかし歌唱面では少々難あり。地声と裏声(でいいのかな?)の境目で声が裏返ることもしばしば。そして両方の声質があまりに違いすぎて、まるで違う人が歌っているかのように聞こえた。もともと重めの声のようで、言葉の面でも小回りがあまり利かないようである。3幕最後の「ラタプラン」では「ラタプラン」と言えずに「ラタパン」となっていた部分も見受けられた。まぁ、これも指揮者が歌手を無視してテンポを上げまくったところに原因がありそうだが。

フラ・メリトーネのコリバンは好演。暗い結末が待つドラマの中にも、ほっと息をつかせる見事な三枚目ぶりだった。

オケについては、ソロなどはさすがに見事だが、前の2日間に比べると統率がとれていなかった感は否めない。たまに飛び出すパートもあり、これが本当にウィーンシュターツオパーのオケか、と疑いたくなる場面もちらほら。序曲からして緊張感に欠けていることを感じた。ルーティン公演だとこうなる、という悲しい事実。指揮者のテンポの取り方も疑問に感じるところもあり、オケに感動した前の2日の公演(マクベス、トリスタン)とは正反対の印象をもった。

パウントニーの演出は、プレツィオジッラらジプシーや兵隊の合唱の場面を除き、特に大きな読み換えはなかった。白と黒、そして合唱の赤い衣装のコントラストは目に鮮やかでよかったと思う。更紗に映される映像を多用しており、装置のシンプルさを補っていた。序曲ではスクリーンに映像が映されていたが、音楽にぴったり合っていて驚いた。これは指揮者が映像に合わせてやっているのだろうか?そうだとしたら演出が音楽を食ってるみたいであまりよいと思わないが。

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ベルリン国立歌劇場【イタリアのトルコ人】

2010. . 11
Staatsoper Unter den Linden Berlin
G.Rossini “IL TURCO IN ITALIA” 

2009.12.20 Sun 19:00

Donna Fiorilla・・・・・・・Alexandria Pendatchenska
Don Geronio・・・・・・・・・Andrea Concetti
Don Narciso・・・・・・・・・Colin Lee
Selim・・・・・・・・・・・・Giovanni Furlanetto
Zaida・・・・・・・・・・・・Katharina Kammerloher
Albazar・・・・・・・・・・・Florian Hoffmann
Prosdocimo・・・・・・・・・Alfredo Daza

Inszenierung・・・・・・・・・David Alden
Musikalische Leitung・・・・・Riccardo Frizza

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ベルリン国立歌劇場は、開演15分前に残っているチケットを学生に€13で販売している。開演1時間前に窓口に行ったら係員のおばちゃんにそう言われたので、時間つぶしに€5のバックステージツアーに参加した。ガイドは全部ドイツ語でほとんど分からなかったが、舞台ではこの「トルコ人」の仕込みをしていた。次の日の「魔笛」の装置が脇にあり、奈落には「ボエーム」のカルチェ・ラタンが隠れているのも見せてくれた。パパゲーノの羽衣装も触らせてくれたし、歌手が入る前の楽屋の中も覗いた。言葉はほとんど分からなくてもオペラやキャラクターの名前が分かると結構楽しめるもんだと思った。

客席から見ると舞台装置って華麗に見えるけど、本当はベニヤむき出しの張りぼてだったり、安っぽい感触の小道具や衣装だったりする。まぁ歌手の動きやすさなどを考えたらそうなるのはもちろんのことだけど、舞台で歌い、演じている歌手たちは観客が思っているより優雅な気持ちになっているわけではないんだろうな。ゼッフィレッリがメトの「トラヴィアータ」で本物のアンティーク家具、クリスタルの杯を使って歌手もノセようと考えた裏にはこういう事実があるからなのかな、と妙に納得した。客席からは100均のグラスでも分からないようなものなのに。

さて、オペラ本編の方もルーティン公演にしてはなかなか楽しめた。音楽的にというより、単純にコメディとして。席が前から6列目の中央(€13!)だったから歌手の表情まで見えたせいもある。このオペラ、実演に触れるのは初めてだが「セヴィリア」よりも良くできたなかなかの傑作だと思う。

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年期の入っている座席の椅子

筋を現代風に平たく言えば、外国人に心がグラついてしまう人妻、そして妻の心を取り戻そうと、今まで行ったことのないクラブの仮装パーティに行ってみたりして奮闘する夫の話。アールデンの演出はまさにそのような感じだった。セリムはワインカラーの革のギラギラした衣装に身を包み、せっかくイタリアに来たんだから、と女をひっかける。真面目一徹、仕事人間の夫(こういうイタリア人もどっかにはいるのかな)に嫌気がさしてきた妻は今まで見たことない異国人にひっかかる。その人妻を一方的に狙ってた遊び人(バスローブ姿にシャンパンを持って登場)と夫は本来敵同士ながら、異国人からイタリア女である妻を奪還しようと競合(この辺がいかにもイタリアらしい)。戯曲を書くにもネタがなくて困っていた詩人が、このスキャンダルを作品にしてしまおう!と登場人物の間を文字通り駆けずり回り、それぞれの意見を聞いてまわったり、思い通りの結末になるように尽力する。まるで作品ができる過程を見ているような気持ちになって楽しいし、仮装舞踏会の各人の心の中の表現は、他のロッシーニ作品より心理表現が特に優れていると思う。

演出のアイディアの面白さも個人的に気に入ったが、歌手たちも全体的に好演だった。フィオリッラのペンダチェンスカを除いて。

セリムを歌ったG.フルラネットはスタイルがよくてギラギラの衣装を着ても様になってたし(怪演ともいえるようなギラギラした表情も)、良く通る声で喝采を浴びた。詩人ジェローニオを歌い演じたのはコンチェッティ。新国の「ドン・ジョヴァンニ」レポレッロで聴いた時よりも圧倒的な存在感を持って演じた。黄色い背広を着て髪をかき乱して走り回る彼は、本来三枚目でありながらまとめ役でもあるが、今回の演出、そして彼の演じるジェローニオは三枚目の割合が大きいように感じた。

妻を取り戻そうと奮闘する、憎めない夫を演じたDazaは演技、歌ともによかった。ダーラを彷彿とさせる軽い声と見事な早口。縦ストライプのスーツに身を包み、口髭を生やした外見はピーター・セラーズ(俳優の方ね)を思わせる。ダメなんだけど憎めないクルーゾー警部とイメージが少しかぶる。ナルチーゾのリー(アジア人ではない)もこの演出のイメージにぴったりはまっていた。本来はこてこてのイタリア伊達男といったところだろうが、この舞台では能天気なアメリカ白人のようだった(こう言っては失礼かと思いましたがそんな感じ)。声はレッジェーロにしては軽くない。高音も見事に決めたが声質のせいなのか、高音が決まった時のスコーンとくるあの快感はあまりなかった。音域的に、技術的に歌えればいいってものじゃなくて、やはり声質に合わせた適材適所が一番ですね。

女声ではカンマーローアーが好演。彼女は漆黒のビロードのドレスを着て登場、さながら喪服のようだった。セリムを失ったことがそこまで彼女にこたえたということなのだろうか。声質もまるで衣装のビロードのように滑らか。デリエ演出の「コジ」の映像を見たときはややふっくらしていたが、この日はかなりスリムになっていた。

さて、主役のフィオリッラを歌ったペンダチェンスカはカンマーローアーとは対照的な体格だったが(そんなに凄くないが比較すると)、外見のことは抜きにしてアジリタの技術が圧倒的に足りなくて、聴いていてやきもきした。見せ場のアリアでは全然歌えていなかった。このプロダクションがプレミエの時はなんとシェーファー(!)が歌ったというが、それはそれでミスキャストでちょっとした話題になったらしい。ベルリンはこのプロダクションの主役に、役に合った歌手を持ってくるつもりはないのだろうか。適材適所。もっともペンダチェンスカの場合は質の問題ではなく、単に技術の問題だと思うわけだが。それにしてもこの役は体力的にきつい役だと思う。アリアのみならず、重唱に加わる頻度も他のロッシーニ作品に比べて多いような気がする。あくまでも印象の話ですが。だからそれで疲れてしまったのかもしれないね。

オケはフリッツァの棒の下、湧き上がるようなロッシーニクレッシェンドを奏した。クレッシェンドにアッチェレランドでもアンサンブルが乱れないのはさすがシュターツカペレ。特に木管のSoliがピッタリと寄り添うようで見事。序曲にHrの長いソロがあるが、それもふくよかに歌っていてよかった。ただ、全体的にはやはりイタリアではなくドイツだった。しっかり鳴らしてくれて心地よいが、イタリアの劇場オケにある自然に浮き立つような軽さを感じることはあまりなかった。フリッツァは頑張っていたようだが。フリッツァのロッシーニというのも初めて聞いたと思う。日本では専らヴェルディのイメージだが、彼がロッシーニを振るとこうなるのか、と興味深く聴いた。あくまでも好みの問題だけどね。

オペラには直接関係ないことだけど、開演前にロビーをうろうろしていたら人の良さそうなドイツのおじいさんが話しかけてきた。向こうも一人だったらしく、休憩時間にもわざわざ俺を探して話してくれた。好きなオペラの話(おじいさんはプッチーニとヴェルディがすきらしい)、日本のオペラ上演の話、日本人と中国人の違いの話(おじいさんは薬品会社で働いてた頃北京に行ったらしい)などを英語で話した。70半ばに見えたが、ゆっくりだけどちゃんと英語で話す。もちろん外資系だったからということもあるだろうがイタリアだったらみんながみんなこうはいかない。ドイツはドイツ語が分からなくても何とかなる国だ。旅行者には嬉しい。

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ハノーファー歌劇場【フィデリオ】

2010. . 09
Staatsoper Hannover
L.v.Beethoven “FIDELIO”

2009.12.19 19:30

Leonore・・・・・・・・・・Brigitte Hahn
Florestan・・・・・・・・・Peter Seiffert
Don Pizarro・・・・・・・・Thomas Jesatko
Rocco・・・・・・・・・・・Matti Salminen
Marzelline・・・・・・・・・Dorothea Maria Marx
Jaquino・・・・・・・・・・Ivan Turšić
Don Fernando・・・・・・・・Tobias Schabel

Inszenierung・・・・・・・・Georg Schmiedleintner
Musikalische Leitung・・・・Luts de Veer


1日限りのガラ公演ということで結構プレミアチケットなのかと思ったら、満員というわけではなかった。当日窓口に行って「学生です」と言ったら一階4列目ほぼ中央の席が€16だった。しかも座ってみると両隣は空席。周りは満席なのに。おそらく誰かがキャンセルしたんだろう。

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ハノーファー歌劇場の外見は厳めしい石造りの立派な建物。町の中央の大きな広場に堂々と建っている。そんな外見とは対照的に内装はモダンでシック。まだ改装して10年経つか経たないかってとこだろう。バーには合唱団員の写真が一人一人飾ってあり、アジア人の団員もちらほらいた。この日、囚人ソロを歌ったのも韓国系の人だった。

劇場内は落ち着いた木目調で、いかにもドイツといった感じ。新国を少し大きくした印象。イタリアの豪華さ、眩さはないけど音響重視に考えられたいい劇場だと思う。まあ1階前方で聴いたから音響についてはあまり分からないが、恐らくいいはず。

さて、この日はザイフェルトとサルミネンがゲストとして出演。この二人が見事だったのは言うまでもないが、その他の座付きの歌手たちもそれぞれ好演だった。ゲスト2人と遜色がないくらいに。

タイトルロールのハーンは力強い声をもったメゾ。最低音がやや苦しそうだったが、高音の張りが見事。緩やかなヴィヴラートの波も心地よい。

ザイフェルトは声量が桁はずれ。ワーグナー歌手だけあってとても太くロブストな声、しかしそれだけでなくリリカルに歌う。まるでプッチーニのように。この役は決してヒロイックな役ではないと思う。(もちろんその要素もあるが)獄中でレオノーラを想って歌う所などは彼ぐらいリリカルに歌ってしかるべきだと思う。素晴らしかった。

ロッコのサルミネンは巨体に杖をついて登場。これは演出上ではなく個人的なものだと思うが、若い所長に圧力をかけられるみじめな老人像ともとれていいと思う。深遠なる低音の世界を味あわせてくれた。しかし、年齢のためか期待していたほどの声量はなかった。期待のかけすぎはいつでも裏切られる。もちろん不足はない。ただ期待しすぎただけ。

ドン・ピツァロのJesatkoはまだ若いと思うが声量も凄味も嫌らしさもなかなか良かった。「あー、こういう嫌な上司居そう」と思わせる。この役は嫌な奴であればある程、結末ですっきりする。つばがいっぱいとんでいるのが見えた。ドイツ語はこうでなくちゃ(笑)

マルツェリーネを歌ったマルクスはまだデビューしたてなんじゃないかと思う。だが安定していて良かった。拍手喝采だった。幕が開いてすぐ、彼女の声を聞いて「これはいい公演になりそうだ」と思った。脇役がいいと嬉しい。

ヤキーノのTuršićもしっかりとした声で音楽的に充分な力を持っていると思うが、今回の演出では彼の演技が光った。この演出ではロッコに引っ張られ、ピツァロに壁に向かって突き飛ばされ、マルツェリーネにビンタされる、体力的にキツそうな役となっていたが、恋心も受け入れられず、階級社会の中で上からの命令を受けるだけの惨めな男を巧く演じていた。

字幕は歌部分も台詞部分もなし。まったくの字幕なしで実演に触れたのは初めての経験。確かにこれだと視覚的に舞台に集中でき、また同時に耳も舞台に向く。どっちにしろあまりドイツ語が分からないが、歌手たちの素晴らしい演技力、歌唱力のおかげでどっぷり舞台にのめりこむことができた。席が近いということもプラスに働いた。

舞台には合唱ではないピツァロの部下の黙役エキストラが20人ほど登場し、パントマイムを繰り広げていた。白塗りに黒いピエロの鼻、そして黒い風船。ピツァロに習って囚人を理不尽に傷めつけ、ピツァロのイスに競って座りたがる。官僚制批判を仄めかすような演出となっていた。オケはドイツらしい重厚な響きを出し、アンサンブルも手堅くソロも好演。特にホルンのソロ、アンサンブルは絶品だった。1か所外したところがあったが、柔らかな音色と爆発寸前の力強い音色を巧く使い分け、外したことは問題にならないぐらい素晴らしかった。

ハノーファーは来日公演もしてないし(恐らく)、ベルリンやミュンヘンに比べたら日本ではあまり話題に上らない劇場だが、このように地元に根付いて手堅く真摯に舞台作りをしている劇場を見るとドイツの文化的な底の深さを改めて感じる。日本の新国のレヴェルも向上しつつあるとはいえ、到底歴史の壁は越えられないと痛感した。日本は日本で新しい面白いこともできるからそれはそれでいいと思うけど。

ベルリン・ドイツ・オペラ【魔笛】

2010. . 09
Deutsche Oper Berlin
W.A.Mozart “DIE ZAUBERFLÖTE”
 
2009.12.18 Fri 19:30

Sarastro・・・・・・・・・・Ante Jerkunicsa
Tamino・・・・・・・・・・・Thomas Blondelle
Sprecher・・・・・・・・・・Lenus Carlson
Erster Priester・・・・・・James Kee
Zweiter Priester・・・・・・Paul Kaufmann
Königin der Nacht・・・・・Hulkar Sabirova
Pamina・・・・・・・・・・・Anna Schoeck
Erste Dame・・・・・・・・・Fionnuala McCarthy
Zweiter Dame・・・・・・・・Stephanie Weiss
Dritte Dame・・・・・・・・Katharine Tier
Papagena・・・・・・・・・・Martina Welschenbach
Papageno・・・・・・・・・・Simon Pauly
Drei Knaben・・・・・・・・・Solisten des Knabenchores
                   der Chorakademie der Dortmund
Monostatos・・・・・・・・・・Jörg Schömer

Inszenierung・・・・・・・・・Günter Krämer
Musikalische Leitung・・・・・Matthias Foremny

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年末になると、ヨーロッパ、特にドイツでは「魔笛」と「ヘンゼルとグレーテル」の上演が多くなる。主にファミリー層狙いで。今回の公演もベルリンの年末の恒例行事といった感じで、かなり子供が多かった。家族で来てる人もいれば、学校の行事の一環か何かで団体で来てるのもいた。このクレーマーのプロダクションも1991年から続いているらしい。

歌手陣は男声が健闘。タミーノのBlondelleは正統派の美しい声で、王子らしい気品があった。ザラストロのJerkunicsaも素晴らしい低音を聴かせたし、パパゲーノのPaulyも演技力と溌剌とした声を兼ね備えていた。ただ、座った席のせいか(1階の後ろから2番目の席)、どの声も小ぶりに聞こえた。頭上を覆う2階席のおかげで。この席で聞くと音響はないに等しい。

逆に女声は少し惜しかった。パミーナのSchoeckは声自体は役にもあっていていいのだがフレージングが短かった。夜の女王のSabirovaはほぼ完璧なコロラトゥーラを聴かせた。テクニカルな面は正確だが、感情表現のようなものはほとんど感じられなかった。一曲目のアリアでは娘への愛というものも感じたいところ。逆を言えば夜の女王だから良かったが、もっと感情表現が求められる役柄、例えばルチアなどにはこの歌手は適役とは言えないだろう。

ドイツの歌劇場ではいつも思うことだが、脇役がすこぶるいい。この日も3人の侍女がのっけから粒のそろったアンサンブルを聴かせてくれたし、モノスタトスもしっかりしていて全体の印象を引き締めた。3人の童子はドルトムンドの少年合唱からの3人だったが、1人ひとりが驚くほどしっかりとした声を持っていて、3人の調和も見事なものだった。今まで聞いた中では、録音を含めても一番いいんじゃないかと思うぐらい素晴らしかった。見に来てた子供たちは友達なのか、やんやの大喝采だった。2人の僧侶は漫才師のごとくパパゲーノにちょっかいを出し、3枚目に徹していた。

舞台装置は最低限に抑えられ、黒い布や、棒を活用していた。ザラストロ教団の信者はアジア的な白装束を着て畑を耕す。けど経典はヒエログリフか何か、エジプト的なものでなんだかミスマッチな印象を受けた。オケピの周りにも舞台が設けられ、観客との距離がかなり近い。パパゲーノは客席から登場、ワインを指揮者や1列目のお客さんに分けたりしていた。あれは本物のワインだったらしく、お客さんも「Gut!」なんて言っていた。

字幕は歌唱部分のみドイツ語で出るが、セリフ部分は字幕なし。ここの人たちにとっては母国語だからね。それだけあってセリフ部分はまるで演劇を見ているようだった。言葉が生きている。台詞は大幅に変えている部分もあったようだった。

オケは前にここで「ルチア」を聴いた時にも感じたが、どうしても二流の感じがするのは否めない。たまに音を間違えるし、アンサンブルの乱れや音色の荒れも散見。安心して聞いていられるというわけではなかった。

クリスマスの出し物らしく、音楽的な完成度よりは家族で楽しめる上演を目指していたようだが、それでも全体的には一部の歌手のおかげでなかなかの音楽的レヴェルだった。「魔笛」はドイツ人の生活の一部になっているんだな、という事を肌で感じられたのが何よりの収穫だった。

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はじめに

2010. . 09
こんにちは。このブログは、ヴェネツィアに留学中のオペラ好きの学生が、ヨーロッパで見たオペラやコンサートの感想を書いていくブログです。

年末~1月にかけて、学校の休みを利用してドイツ数か所やパリ、チューリヒなどに行って見たオペラの感想からぼちぼち書き始めたいと思います。リアルタイムの記事ではないですがそのへん大目に見てください。

以下が休み中に鑑賞した公演です。

2009年12月
・ベルリン・ドイツ・オペラ【魔笛】

・ベルリン国立歌劇場【イタリアのトルコ人】
(フリッツァ指揮 G.フルラネット、コンチェッティ、カンマーローアー出演)

・ハノーファー歌劇場【フィデリオ】
  (ザイフェルト、サルミネン出演)

・ウィーン国立歌劇場
【マクベス】(ネミロヴァ演出 キーンリサイド出演)
【トリスタンとイゾルデ】
 (ラトル指揮 クレーマー演出 ウルマーナ、ディーン・スミス、スコウフス出演)
【運命の力】(パウントニー演出 シュテンメ、F.フルラネット出演)

・バイエルン州立歌劇場【ラ・ボエーム】
(シェンク演出 A.ハルテリウス、ジョルダーノ出演)

2010年1,2月
・チューリヒ歌劇場
【チェネレントラ】(ショーソン、ウィドマー出演)
【セヴィリアの理髪師】(サンティ指揮 ショーソン、R.ライモンディ出演)

・マドリッド王立歌劇場【さまよえるオランダ人】
(ロペス=コボス指揮 グールド、カンペ出演)

・パリ・オペラ座
【ウェルテル】(プラッソン指揮 カウスマン、コッホ、テジエ出演)
【イドメネオ】(カサロヴァ、タマール出演)
【夢遊病の女】(デッセー、ペルトゥージ出演)

・パリ・シャトレ座【ノルマ】(ムスバッハ演出)

・シャンゼリゼ劇場【チェネレントラ】
  (ジュノー、シラグーザ、スパニョーリ、ダルカンジェロ出演)

ムーティ指揮 フランス国立管演奏会

・サル・プレイエル メッツマッハー指揮 パリ管 ブリテン【ウォー・レクイエム】

・ミラノ・スカラ座
【リゴレット】(コンロン指揮 ヌッチ、モシュク、セッコ出演)
【ドン・ジョヴァンニ】(ムスバッハ演出 マッテイ、レミージョ出演)

・フィレンツェ テアトロ・コムナーレ【アルジェのイタリア女】
  (マッツォーラ指揮 バルチェッローナ、アライモ、デ・シモーネ出演)

・ロンドン ロイヤルオペラハウス【コジ・ファン・トゥッテ】(ミラー演出 シメル出演)



あくまで個人的な感想ですので、「こいつ、この歌手のここがヤだって言ってるけど、あの歌い方がいいんじゃないか!」とか「こいつ、こんな勝手なこと言ってるけど私はこう思う」とか「こいつ、誤字脱字」などなんでもかんでもコメントをいただければ嬉しいです。このブログを通してオペラやクラシックが好きな方々と意見交換、交流できればいいな、と密かに思っております。

これから、何卒よろしくお願いします。
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